DIALOGUE
人とのつながりがもたらす、ウェルビーイングと幸福

現代の私たちは、テクノロジーの進化によって便利な生活を手に入れました。しかしその一方で、「孤独」や「人との関係の希薄さ」を感じる人も少なくありません。そんな今だからこそ、改めて見直したいのが「人と人とのつながり」がもたらすウェルビーイングと幸福です。
ウェルビーイングとは?
「ウェルビーイング(Well-being)」とは、単に病気でないという状態ではなく、身体的・精神的・社会的に満たされた状態を指します。つまり、心も体も、そして人間関係もバランスよく整っていることが、真の健康であり、幸福の土台となるのです。
科学が証明する「つながり」の力
ハーバード大学が75年以上にわたって行ってきた成人発達に関する研究※によると、幸福な人生を送る上で最も重要な要素は、富や名声ではなく「温かい人間関係」であることが明らかになっています。この研究では、良好な人間関係がストレスを軽減し、精神的な安定をもたらすだけでなく、身体的な健康にも良い影響を与えることが示されています。 つまり、誰かと深くつながっているという感覚は、私たちの心と体の両方にとって、非常に大きな意味を持つのです。

日常の中の小さなつながりが幸福を育む
家族や友人、職場の仲間、地域の人々とのつながりは、私たちに安心感や自己肯定感を与えてくれます。たとえば、悩みを誰かに話すだけで気持ちが軽くなったり、共通の趣味を持つ仲間と過ごす時間が生きがいになったりすることがあります。こうした日常の中の小さなつながりが、私たちの幸福感を大きく高めてくれるのです。「つながり」と聞くと、少し大げさに感じる方もいるかもしれません。しかし、まずは挨拶から始めてみませんか?挨拶は、人と人との関係を築くための最初の小さな一歩です。この小さな一歩が、あなたの日常に豊かなつながりをもたらすきっかけとなるかもしれません。

「与えること」も幸福につながる
人とのつながりは、受け取るだけでなく「与えること」でも深まります。誰かを助けたり、感謝の気持ちを伝えたりすることで、自分自身の価値を再確認でき、ポジティブな感情が生まれます。心理学の研究でも、他者に親切にすることで脳内に幸福ホルモンが分泌されることがわかっています。例えば、電車でご年配の方に席を譲った後、心が温かくなった経験はありませんか?まさにあの感覚こそが、「与えること」によって得られる幸福です。
デジタル時代だからこそ、つながりを大切に
デジタル時代、SNSやチャットアプリで簡単につながれるようになりました。画面越しに感情をすぐ表現できる便利さがある一方で、相手の本当の気持ちを読み取るのが難しくなり、指先ひとつで誰かを傷つけてしまうこともあります。だからこそ、対面での会話や表情を通じて人間らしいつながりを感じることが、今まで以上に大切です。「話す」「感謝を伝える」「助け合う」――そんな日々の行動を意識して、心のつながりを育んでいきたいですね。
最後に
ウェルビーイングと幸福は、私たち一人ひとりの内面だけでなく、周囲との関係性の中で育まれるものです。人とのつながりを大切にし、互いに支え合う社会を目指すことが、これからの時代における本当の豊かさなのかもしれません。
※「ハーバード成人発達研究(Harvard Study of Adult Development)」は、1938年に始まり、現在まで80年以上にわたって継続されている世界最長級の縦断的研究です。この研究では、被験者の人生を長期にわたって追跡し、幸福や健康に影響を与える要因を調査しています。
